フォト・エッセイ その2
 
チャイナタウンの神業 Let's enjoy Chinatown, Honolulu.

 ホノルルではいつもチャイナタウン・カルチャープラザのレジェンド・シーフード・レストランで、香港スタイルの飲茶を楽しんでいる。レストランで駐車チケットにスタンプを押してもらうと、カルチャー・プラザの駐車料金が2時間まで1ドル50セントになる。正規に利用するといくらなのかは定かではない。

 入り口で余程待たされない限り飲茶に要する時間はせいぜい1時間なので、駐車時間はまだ十分に余っている。そこで腹ごなしを兼ねて、いつもチャイナタウンを散策することにしている。もちろん飲茶が出されているので昼前後の時間帯だ。夜のチャイナタウンは絶対に歩いてはいけない。

 チャイナタウンで最も古い広東料理のウー・ファットの外壁は、一際目立つピンク色だった。ところがハワイの強烈な日差しに曝され、最近ではごく薄いピンクに色褪せてしまい、言われないとピンクだと判らないような有様だ。チャイナタウンのランドマーク的存在のこのビルは、是非外壁の塗装を濃いピンクに塗り直して欲しい。

 ウー・ファットは角地に立つビルの2階にあり、1階には中華材料の店と野菜を扱う店がそれぞれの通りに面して営業している。同じ建物にもかかわらず面した通りが住所の表示に用いられており、それぞれの店は異なる住所となっている。

中華材料のヒンマウ貿易公司は、横浜中華街にありがちな中華食材、食器、調理器具等を扱う店で、店先からは各種スパイスや中華材料独特の匂いが漂って来る。中華街の香りと言った方がいいかもしれない。夏には店先にドリアンが山積みされ、さらに匂いを複雑な物にしている。

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ウー・ファットは2階

1階はヒンマウ貿易公司

 ここでは各種中国茶、胡麻汁粉、亀ゼリーなどを買い求めている。日本の中華街でも売られているかもしれないが、わざわざホノルルのチャイナタウンから買って帰る価値がある程その値段は格安だ。目に付いたものを次々と籠に入れ、レジに持って行く。今時の店はレジでバーコードを読み取り自動的に価格が計算されるが、ここでは昔ながらの手作業でそれぞれの値段をレジで打ち込んでいる。コンビニ顔負けの品数の豊富さにもかかわらず、レジの女性は総ての商品の値段が頭に入っており、迷うことなく次々と値段を打ち込んで行く。途中で商品の置かれた棚に向かい、値段を確認することすらない。

 自分の買い物が終わってからもしばらくレジの様子を観察してみたが、相変わらず次々と値段が打ち込まれていた。チャイナタウンの店番にはバーコードなど不要なようだ。手先の器用さを報じる中国からの映像はテレビでもお馴染みだが、チャイナタウンの中華材料の店にも、中国4千年の歴史で培われた確かな技が継承されている。特に目立たない所にも中国の底知れぬパワーが見え隠れしているようだ。

 今回買った中でドリアン味のこんにゃくゼリーは珍しく、また味も香りも本物に引けを取らない。同じくレイシーのこんにゃくゼリーは、その食感までも本物と同じだ。もちろん本物のドリアンも日本に比べると格安で、キロ千円位で売られている。

 

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軒先にバナナをぶら下げている店は少なくない

オアフ・マーケットはチャイナタウンの台所

バナナの右は容器に入ったゼリー

 

 

中央の柱には龍が巻きついている

レジェンドで飲茶の順番を待つローカル

 

 チャイナタウンを訪れたら、ガイド・ブックなどに取り上げられていない自分だけのテーマに沿って街をうろつくのも悪くない。数多くある花屋で気に入ったレイを探すのもいい。自分用のレイを買う時は、マウナケア・ストリートと決めている地元の人は少なくないようだ。

 チャイナタウンには、かつての航海時代から現在に至るまでの栄枯盛衰を見つめて来た昔ながらの街並みがあり、そこで生活をしている華僑の人たちのビジネスに対するしたたかさが感じられるはずだ。

 

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