フォト・エッセイ その3  
   
午後のコンドミニアム Aftenoon time at condominium.  

  まだハワイに2回位しか行ったことの無かった1985年、この年に発刊されたハワイのガイドブックに、コンドミニアムでの生活が紹介されていた。まだ当時はいわゆるツアーに参加しており、宿泊はホテルだった。大型の冷蔵庫、食器洗い機、大型のオーブン付きレンジなど、コンドミニアムの生活に憧れていた。

その本の中に、「午後のコンドミニアム」というショートストーリーが掲載され、コンドミニアムの庭にあるプールの白黒写真がバックに使われていた。コンドミニアムに住んでいる女性が毎日決まった時間にプールに現れ、まず10往復くらいクロールで泳ぎ、それからプールサイドの決まった場所で日光浴をする話だった。

最近は専らコンドミニアムに宿泊しているが、ビーチに出掛けるのでプールは全然利用していない。いつも泊まる34階の部屋から遥か下のプールを見るたびに、このストーリーを思い出してしまう。

   
 

 

独り占め!

海まで徒歩数分、でもプール?

オムレツ、マフィン、パパイヤ

 

 

拾った完熟マンゴー

   

 この本には、一週間コンドミニアム生活した際の朝晩のメニューがリストになっていた。このメニューを見ながら、食材の購入や作り方などに色々と思いを馳せたものだった。面白いのは最後の夕食のメニューで、「残り物のグラタン」となっている。

確かにその通りで、最終日ともなると冷蔵庫の中には使い切れ無かった食材がたくさん残っている。日本に持って帰れる物は極力持ち帰るようにしているが、野菜、卵、封を切ったハム、ソーセージの類は持ち帰ることが出来ない。最後の夕食は外食が多いので、どうしても帰国当日の朝ご飯は、残り物を片付けるオムレツにしたりサラダにしたりしている。この本が及ぼす影響を今でも、無意識に引き摺っているようだ。

ハワイ初心者の頃はガイドブックがすべてで、書かれている所に出かけ、紹介されている物を食べたものだった。ハワイに限らず、多くの読者がガイドブックの通りに行動し、その結果がその土地に対する印象に結び付いている。ガイドブックを書く立場の人は、ある意味で旅先の印象さえも変えていることに気付いているのだろうか。最近のガイドブックは余りにも商業主義に傾いてはいないだろうか。もうそろそろ買い物ツアーガイドは終わりにしないと切りが無い。

 

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