フォト・エッセイ その9  
   
窓から見る風景 Mountain View from Waikiki Sunset.  

  いつも泊まるコンドミニアム、ワイキキ・サンセットはワイキキの東の端に位置し、廊下を挟んでオーシャン・ビューとマウンテン・ビューの部屋がある。泊まるのはマウンテン・ビューの方で、目の前にはアラワイ運河、アラワイ・ゴルフ・コース、そしてコーラウ山脈につながるマノアの山並みを望むことが出来る。マノアの山裾までのなだらかな丘には住宅街が広がっている。東側を望むと、ラビット・アイランドやDHの一部も見ることが出来る。

 周りには他のホテルやコンドミニアムが建っているが、それらよりも高い34階の部屋なので視界の妨げにはならない。視野の半分以上を緑色が占めていて、コーラウ山脈、マノア、そして残りの緑はアラワイ・ゴルフ・コースのグリーンだ。残る視野の大部分は空の青で、それ以外は住宅街の茶色が少し見える。

 コーラウ山脈は、ワイキキが晴れている時でも、雲に覆われていることが多い。海の上を渡って来た風が山肌にぶつかり、雲が出来て山に雨を降らせているので、いつも緑色を絶やさない。もちろんここに降った雨は、豊富な飲料水の源となっている。

 マノアの山並みはカメラで言うところの無限遠のピントにあり、東京の生活で遠くを見ることの少なくなった目には新鮮である。緑の色は目に良いと言われているが、緑の山並みを見ていると、目のストレスが解消されて行くのがはっきり感じられる。

 

 

Double Rainbow over

Rainy at Manoa,

Mountains are aglow

Ala Wai Golf Course

but

with Setting Sun

 

Sunshine at Waikiki

 

 

 

Amazing Night View

Almost No Clouds

 

 

in the Sky

 
   

 雨が降る時はまずマノアの山並みが雲に隠れ、次に山裾が霧に覆われる。だんだん雨が海側に近付いて来て、遂に雨が降り出すと窓のすぐ外が霧に覆われることもある。下から見ると、建物の上の方はおそらく雲の中に入ったように見えているに違いない。

雨が降り止む時は、ワイキキ側から晴れて来る。太陽はワイキキから山に向かって差しているので、山側にまだ雨が残っていると虹が掛かる。特に雨季には虹をよく目にする。ダブル・レインボーのこともある。ダブル・レインボーは、二本の虹の内側から外側に向かって同じ色が対称になっており、内側は赤から外側の青まで連続して色が変化している。小さい内側の虹の方が鮮やかに発色しているので、シングル・レインボーの時はその外側に目を凝らすと、うっすらともう一本虹が見えるかもしれない。

 今まで何回となく虹の写真を撮り続けているが、きれいに映ったためしがない。人間の目とフィルムやデジカメの受光素子との感度のずれなのか、単に腕のせいなのか、それとも自動露出、自動プリントによる調整 の影響なのかは定かでない。自然の美しさを捕らえることの出来ない、人間の未熟さを自然があざ笑っているかのようである。 最近ではデジカメで撮影後、画像処理ソフトで記憶色に近付けることが多い。

 山側の夜景は本当にすばらしい。「宝石箱をひっくり返したような」と言うありきたりの表現がピッタリだ。夜の海はほとんど真っ暗で見えないし、海の見える昼間は出かけていることが多いし、わざわざ高い料金を出して海側の部屋に宿泊する人の気持ちが理解出来ない。ワイキキ・サンセットに宿泊するなら高層階の山側をお勧めする。

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